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ローカル・ヒーローは日本を救う?

食品キャンペーン・ソングの話題がつづいて恐縮だが、最後にぜひ紹介しておきたいのが自治体主導の作品である。とくに地方になると、洗練とか、グローバリズムからかぎりなく距離を置いた、我が道をゆくような楽曲が多い。20世紀初め、アフリカの彫刻が、ピカソらパリの画家たちにつよいインパクトを与えたのと同じように、そのストレートすぎる表現形式には異質の迫力がある。

まずは岡山県農政企画課。ここでつくったという「地産地消おかやまの唄」というのがある。
Song
フォーク調のほのぼのした旋律にのせて、「安全安心有機無農薬野菜、蒜山だいこん、トマトに黒豆、千両なす、まだまだあります下津井ダコ、岡山カキ、岡山和牛肉、おかやま地どり、ジャージー牛乳、岡山米」と、ひたすら岡山の特産品を挙げつづけ、「地産地消地産地消岡山HEY」という耳に残るフレーズでしめる。振り付けを収録したDVDもあるそうだ。「地産地消おかやまの唄」で踊りたいという人がどのくらいいるのか見当もつかないが、ひょっとして興味のある人は岡山県農政企画課に問い合わせてみるといいだろう。

地域のキャンペーン・ソングについて、とくに目につくのは○○レンジャーの類のローカル・ヒーローの存在である。前回の「しゃぶしゃぶレンジャー」は、ミツカンという企業が低迷する牛肉消費を高めるために生んだお助けマンだった。一方、ローカル・ヒーローの目的は、ただ一つ、地域の活性化である。

食品の話題からずれるが、長野県下條村には、そのものずばり「地域戦隊カッセイカマン」というのがいる。いうまでもなく村の景気と元気を守り、地域を活性化させる正義の戦士だそうである。
Cd_5_a
もちろん主題歌もある。「おおがたてんの しんしゅつに ちいきしょうぎょう だいだげき そんなとき そんなとき たすけてくれるぞ カッセイカ!」「 国県ざいせい おおあかじ こうきょう工事は さくげんだ そんなとき そんなとき 守ってくれるぞ カッセイカ!」という歌詞なのだが、あまりにベタすぎやしないか。

ヒーローといえば長崎県も例にもれない。いまはもう放送が終わってしまったそうだが、昨年まで長崎市には、ごみ分別とリサイクルの推進をめざす「ごみ分け姉妹」という着物姿の二人組の姉妹がいたそうである。
Sisters
テレビCMで「ごみ分けて〜、ながさきし〜」と演歌のような歌を歌っていたそうなのだが、これは「こまどり姉妹」のイメージなのだろうか。ちょっと見たかった。長崎のlalombeさん、見たことありますか?

大村市には協力戦隊グレイトレンジャーというのもあって、あいさつや交通安全や食育についての啓蒙を行っているらしい。北松福島町には健康戦隊フクシマンというのもいて、壱岐市には離島戦隊イキツシマンというのもいるらしい。ただし、歌があるのかどうかは未確認である。

また、福井市にはリサイクルレンジャー「ワケルンジャー」というのがいる。主題歌も聞ける。それにしても、福井市の子供たちは学校でワケルンジャーの歌をみんなで歌ったりしているのだろうか。

地方のヒーロー文化というのは奥が深いと思っていたら、なんと首都・東京の杉並区には、もっと強力なヒーローがいた。その名も杉並戦隊イレンジャー。彼らは、スーパーでレジ袋を大量に持っていこうとするおばさん怪人に敢然と立ち向かう環境保護のヒーローだというのだが、もうなんでもやってくれいという気分になってくる。

杉並区がすごいのは、この杉並戦隊イレンジャーを主人公とした15分ほどのドラマまでつくっている点である。主題歌つきで、ストーリーは学園ラブ&コメディ、おまけに特撮シーンまである。自治体のPRビデオもここまで来てしまったかと思わせる作品である。それにしても、こんな企画が通ってしまうなんて、杉並区という職場はいいなあと別の意味で感心する。

これを観たあと、スーパーで会計をすませたあと、思わずまわりを見回して「怪人」を探した。するとたしかにいる。レジ袋のロールをからからと回して、トイレットペーパーを引っぱりだすように大量のレジ袋をとっていく「怪人」がけっこういるのだ。

このほかに杉並区は「環境派天使スギナ☆ミライ」というヒロインもののドラマも作っている。悪の秘密結社「過剰包装ツツミ隊」の隊員、怪人ラッピングに襲われてる兄を助けるために立ち上がるエコロジーエンジェル少女「スギナ☆ミライ」の活躍を描いた物語とのこと。

おびただしい食品系キャンペーン・ソングがあるのと同じく、ローカル・ヒーローも日本全国で次々と生み出されている。彼らの活躍でほんとうに日本は救われるのだろうか。

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コメント

 つい先日ですが、大学院生がこの手の「ローカル・ヒーロー」を題材にとりあげたレポートを提出しました。すごく面白かったので、ほぼ満点をあげた気がします。
 残念ながら「ごみ分け姉妹」は知りませんでしたが、長崎県にはもう一つ、すごいのがいます。平戸市の平戸防衛戦隊「ひらどしマン」です。
http://ww7.tiki.ne.jp/~hirado/0000.htm
 ゴレンジャーそっくり(?)の6人組なんですが、サイトを見る限りこのところ戦意喪失したのか、あるいは単に忙しいのか(それとも声がかからないのか)、出動していないようです。惜しいことです。

投稿: lalombe | 2006年2月23日 (木) 01時28分

ローカル・ヒーローの研究ですか。どんな研究なのか読んでみたいです。それにしても長崎県はローカル・ヒーローが多いな。ひらどしマンのサイトのリンクを見たら、2001年に平戸に各地のローカル・ヒーローが集まるイベントがあったとありました。

投稿: 田中真知 | 2006年2月24日 (金) 08時50分

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