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「のだめ」のこと

久しぶりに音楽の話。帰国してみたら、なぜかテレビの写りがひどく悪くなっていた。楽しみにしていた「のだめカンタービレ」もこれでは見られないではないかと思ったら、ふだん音楽にほとんど関心を示さない奥さんが、きれいに録画された「のだめ」のDVDを、自分の妹から送ってもらっていた。「のだめ」のコミックもいつのまにか本棚に16巻まで並んでいて、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ていいわよねえ、なんてのたまわっている。

その曲ならこれまでだって、家でなんどもかけていたはずだが、本人の記憶にはまったくないらしい。あの甘美な第二楽章が流れているときに、洗濯物をたたみながら、こういう穴の開いた靴下は捨ててちょうだいよ、それにこのパンツ、ゴムがよれよれよ、これじゃずり落ちてきちゃうんじゃない、これも捨てていいわよね、などとぶつぶついっていたことも、よもや覚えてはおるまい。

もっとも、映画やドラマを通してその曲のよさに気づくというのは、専門家にしても変わらないようだ。ずいぶん以前、モーツァルト毒殺説を扱った「アマデウス」という映画が公開されたとき、音楽評論家の吉田秀和が作家の大岡昇平に、あの映画を見てモーツァルトの音楽はあらためていいなあと思った、といったようなことを話しているのを読んだことがある。

高名な音楽評論家ですら、映画のような物語の中で音楽を聞くと感激するのだから、そうでない人ならなおさらだろう。純粋に音だけでその曲のよさを味わうなんてことは、じつはあまりないのかもしれない。その曲を弾いているひとがハンサムだからとか、美人だからとか、諏訪内晶子だからとか、高木綾子だからとか、村治佳織だからとか、三村奈々恵だからとか、ちょっとジャンルはちがうが山中千尋だからとか、自分にはよくわからないのだが、そういう理由でCDを買う人がいるらしい。たまたま偶然、気づいてみれば、自分もこうした人たちのCDをわりと持っているのだが、もちろん自分の場合、純粋にその演奏に惹かれたからだということは強調しておきたい。

ちなみに、外国などにいて日本の事情がわからない人のために書いておくと、「のだめカンタービレ」とは、クラシック音楽をモチーフとした、いま日本で大ヒットしているマンガであり、現在テレビドラマ化されて放映中である。悪臭に満ちたゴミためのような部屋の中で人並み外れた美しいピアノを奏でる変人音大生・野田恵(通称のだめ)と、指揮者をめざすエリート音大生・千秋をめぐって集まる変人音楽家たちの人間模様を描いた作品である。

クラシック音楽を取り上げたマンガというと、これまではたいてい浮世離れした王子様やお姫様みたいな主人公が出てきたり、猛練習でピアノの鍵盤が血に染まっているとか、嫉妬のあまりバイオリンの弦に毒を塗ってライバルを陥れるといったエピソードがあったり、不治の病を隠していた主人公が演奏を終えた直後、倒れて絶命するといったゴシック・ロマンスぽいものが多かった気がする。けれども「のだめカンタービレ」は、クラシック音楽をリアルな日本の生活感と結びつけ、しかもギャグ満載のコメディーにしてしまったという点で類を見ない。

音楽マンガに傑作が少ない理由の一つに、マンガからは音楽が聞こえてこないからということがいわれる。いくらコマのなかに音符を書き入れようと、ロックコンサートの場面でギターソロやドラム演奏の場面を「ギョワーン」とか「ズダダダ」といったオノマトペとともに描こうが、やはりそこから実際の音楽はなかなかイメージしにくい。昔はよく、レッドツェッペリン物語とか、ピンクフロイド物語といった読み切りのロックバンドの伝記マンガがあったものだが、これとてもそこから彼らの音楽が聞こえてくるほどの迫力は、なかなか感じられなかった。

しかし、「のだめ」の場合、音楽が聞こえてくるのだ。聞こえてくる、というと語弊があるが、聞こえてきても不思議はないような気にさせてくれるのだ。たとえ、その曲を知らなくても想像がわいてきて、その曲を聞いてみたくなる。こういう音楽マンガはこれまでなかったように思う。ただ、これを読むようになってから、奥さんまでが(芸のない)のだめ化してきているのが、すこし気になる。

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「音楽」カテゴリの記事

コメント

 事務所の相田さんから借りて、私も「のだめカンタービレ」を読みました。ユニークなキャラクタ-設定ですが、今や、女の部屋が汚くて、男が料理上手ということが不自然でなくなりつつあるのかもしれません。私の友人たち(40~50才)も夫が料理するケースも珍しくはありません。もちろん妻が怠けているわけではないのです。夫婦ともども忙しいからしょうがないんですね。

「のだめ」のヒットで、「のだめCD」も発売されて、クラシック音楽に若い人が(いや、私のような中高年も)注目しはじめるのは音楽業界にとってはありがたいことでしょうね。

 こうやってみると、やはり優れたヒット作が業界に潤いを与えるのだというわけで、旅行業界のためにも、おもしろいバックパッカー漫画や小説が出てきて大ヒットしないかなと切望します(もっともそれをやらなくちゃいけないのは我が社なんですけど)。

娘が1巻だけ持っていたので,それを借りて読みました.「直感」と「理性」のせめぎ合いがつむぎだすギャグが,うまく「ボケ」と「ツッコミ」の関西風味を演出していて結構好みであります.
文学と異なり,音楽は純粋に直感的であるべしと信じ込んでいまして,だから相当に理性的なクラシックは好かんなぁ,と長年思ってきた私のような人間が,面白そうだなぁ,ひとつ聴いてみるか,なんて気にさせてくれます.
出版業の方々には申し訳ないですが,古本屋で続刊を入手するようにと家族に指令を出しました.

直感と理性、ボケとツッコミ、たしかにそうですね。のだめのモデルになった人とお友だちというピアノの先生を知っているのですが、彼女いわく、音大に千秋のような人はいない、いるのはシュトレーゼマンみたいなのばっかり、だそうです。

さそうあきらの傑作「神童」はお読みになられてないですか? あの作品が無かったら「のだめ」も生まれてなかったと思います。私は「神童」の方を先に読んでいたから(1998年作)、「こういう音楽マンガはこれまでなかったように思う」というご意見には多少違和感があります。
そういえば「神童」も来春映画化なんですよね。

>とおりすがりさま
そうですね。「神童」がありました。あれも傑作ですね。あの作品も主人公の父親が音楽家で、八百屋の青年とか、ホロビッツを思わせる変人巨匠とか、それに娘のためになりふりかまわないお母さんなど個性的なキャラクターと生活感があふれていました。「のだめ」と共通する部分も多いですね。4巻で終わってしまうのと、終わり方が物足りなかったのですが、いい作品でした。そうですか、映画化されるのですか。

あと、一色まことの「ピアノの森」もありますね。最初の何巻か読みましたが、森の中にうち捨てられたピアノという設定のところで無理を感じてしまい、先を読んでいません。

>奥さんまでが(芸のない)のだめ化してきているのが、すこし気になる。

我が家は結婚当初から、筋金入りの 「(芸のない)のだめ化」生活です。

親近感を覚え、思わず書き込んでしまいました♪

ルンさまって、森ルンさまですよね。だったら、ピアノをはじめ、芸がないなんてとんでもない。
考えてみれば、散らかすのも芸の一つといえなくもないですね(几帳面なひとにはできない芸当です。私も得意です)。

田中さんご夫妻も「のだめ」好きと知って、嬉しくなりコメントさせていただきます。
私は同僚に教えてもらい「のだめ」ファンになりました。現在は夫の仕事の関係でアフリカにいますが、元同僚の「のだめ」ファンが最新巻を送ってくれるので、日本を離れていても「のだめ」最新情報はばっちりです。

>「のだめ」の場合、音楽が聞こえてくるのだ。
同感です!「のだめ」で演奏している曲を聴きたくなります。

ゆきえさん、こんにちわ。
アフリカまで「のだめ」を送ってくれるとはいい友だちをお持ちですね。あのマンガはひとに勧めたくなりますね。同じ二ノ宮知子作品の『天才ファミリーカンパニー』もいいですよ。

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