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2007年3月

ンガ、ンガと釘を打ち、ラジオに出る

また、間が空いてしまいました。もう春なので、今後はなるべくこまめな更新を心がけます。

以前、民族音楽研究家の若林忠宏さんが本に紹介していたリズムにまつわるジョークの話(「んっ?」)を取り上げた。道ばたの壁にAとNとDという文字がずらずらと隙間なくつづけて書いてある。ところが、民族によってこれをANDと読むか、DANと読むか、NDAと読むかがちがってくるという話だ。民族によるリズム感のちがいを象徴するエピソードだが、若林さんも肝心のこの話の出所を忘れてしまったと書いていた。

ところが、ここでこの話について書いてしばらくして読者の方から手紙をいただき、この話のオリジナルが文化人類学者・言語学者の西江雅之さんによるものだと教えられた。手紙をくれた方は西江さんにスワヒリ語を習っていて、ご本人に直接確認されたとのことなのでまちがいない。

そうか。いわれてみれば、こんな話を書けるのは西江雅之さんくらいしかいないだろうなと大いに納得した。手紙をくれたヒラツカさん、ありがとうございました。

西江さんはこの話を20年くらい前にジャズピアニストの山下洋輔さんの編集したアンソロジーの中に書いたという。調べてみると、たしかにあった。『音がなければ夜は明けない』(山下洋輔編)という本(最近、文庫化された)の中の「ことばから音をきく」というエッセイがそれだった。

西江さんは、あるとき「(N・D・Oという)三種のアルファベットを幅の広いテープの輪に連続して書きつけたもの」をアフリカの人たちに見せて、そのシラブル(音節)の認識のちがいを調べる実験をした。すると、日本では「ドン、ドン……」か「ド・ン・ド・ン……」という認識の仕方だったのだが、東アフリカの人たちはみな「ンド、ンド……」となったというのである。

ジョークではなく、本当の話だった。また、文字が書かれていたのは壁ではなく、輪っかになった紙であった。つまり、どこから読み始めるかわからないというところが、だいじなポイントだったのである。若林さんにも教えてあげなくては。ちなみに、西江さんのエッセイの結びにあったのだが、スワヒリ語では、「釘をガンガン打つ」というのは、「釘をンガ、ンガ打つ(piga msumari NGA NGA)」となるそうだ。

話はがらりと変わるが、昨年末にラジオに出た。「ラジオ版・学問ノススメ」というFMの番組で、毒について話をしてほしいということだった。昨年、毒についての本を出したことから来た話だろう。自分は毒の専門家ではないのにいいのですか、と訊いたら、それでもかまわないというので引き受けた。

ところが、そのあと番組のサイトでこれまでの出演者を見たら、自分の前の出演者は日本画家の千住博さんで、その前は漫画家の弘兼憲史さん、もっと前にはお天気キャスターの半井小絵さん、さらにあの日野原重明さんや野田知祐さん、ジャーナリストの手嶋龍一さんらもいる。スペシャリストばかりではないか。本当に、自分でいいのか?

収録は終えたものの、放送時間やチャンネルを訊くのを忘れたので、いつのまにか放送が終わってしまっていた。ただ、最近ポッドキャスティング化されたので、パソコン上から放送を聴くことができる(2007.2.21と22の2回)。よかったら聴いてみてください。パーソナリティの蒲田健さんの声が、低くてかっこいいです。


 
 

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