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『転生』神々の領域?をかすめる

昨年の11月に出したジョナサン・コットの『転生―古代エジプトから甦った女考古学者』(新潮社)という翻訳本だが、今年になってから、にわかにアマゾンのランキングが上がっていた。いい本だとは思っているけれど、エジプトのことだし、だれもが興味をもってくれるものとは思っていなかった。だから、ランキングが2万位とか3万位くらいであっても、全国では何十万冊、何百万冊も本は出ているのだから、まあ、そんなものだろうと思っていた。


ところが、今年になって順位が数千番台に上がってきて、どうしたのだろうといぶかしく思っていた。広告が大きく出たという話も聞かないし、大手新聞や書評で取り上げられたという話も聞かなかったし、ネットで一部の人たちがちょこちょこと取り上げてくれているのを、ありがたいなと思って合掌しながら見ていたくらいだった。


しかし、1月の中旬頃になると、順位が2000番台になってきて、ときどき1000番台になることも出てきた。もちろんうれしいのだけれど、どうもわけがわからない。あいかわらず書評が出たとか、どこかで紹介されたという話は入ってこない。なにしろエジプトの片田舎の風変わりな英国人女性の話であって、国家の品格がどうしたとか、デブがどうしたという話ではないのだから。


ところが、1月下旬になるとさらに順位が上がって、1000番以内に入るようになった。700位とか600位とか、ときには400位とかになっている。このくらいの位置を占めている本は、いわば出版界のレギュラー選手たちである。野球はよく知らないが、まあ一軍選手たちの中に入って、おどおどしながらプレーしている社会人出身のドラフト5位指名選手のような気分で、どうも居心地が悪い。


400番台くらいになったときに、このあたりでもう潮時だろうと思い、そのあとしばらくランキングを見なかった。落ちていくのを見るのは、やはり胸が痛むからだ。ところが、やはり気になって数日前にのぞいてみたら、なんと100番台になっている! 野球はよく知らないが、これはいわばAクラス入りというやつかもしれない。空港でいうと、マイレージだかをためたときに入れるVIPラウンジにいるような、そわそわした落ち着かない気分である。なんでもご自由に注文してくださいといわれながら、やはりどぎまぎして結局いちばん安いコーヒーを頼んで、しかも飲んだあとのカップを自分で厨房まで片付けそうになる、あのいたたまれない気分である。


しかし、どう考えてもこの上昇ぶりは異常である。もちろん、アマゾンランキングはネット上での売れ行きなので、書店の売れ行きとは別である。実際、ネット上で検索してみても(検索の仕方が下手なのかもしれないが)とくにひっかかってくることもない。上の部屋の岡崎大五先生のように取材が殺到することもない。あいかわらず、半ば冬眠してぼおっとしているベランダの亀の苔むした甲羅を、ときどきタワシで洗ってやるような閑寂とした日々に、いささかの変わりもない。それに、いくらなんでも、ここらでもう頭打ちだろう。


と思っていたのだが、いまさっき(2008.02.01/pm18:00)のぞいてみたところ、なんと総合74位! ノンフィクション部門、歴史地理部門はともに1位である。

Rank01

ベスト100以内といえば、本にとってはほとんど神々の領域である。野球はよく知らないが、ここはもうオールスターや大リーガーしか許されない雲の上の世界である。しかも、いまや、『転生』は並み居る大リーガーの面々を上回っていた。たとえば、『いつまでもデブと思うなよ』(91位)や『大人の見識』(79位)を踏み越え、いまや、あの『ホームレス中学生』(68位)や『女性の品格』(59位)に迫らんとしているではないか! こんなことはもうないだろうからと、急遽ブログを書くことにした。きっとだれも信じてくれないだろうから、ちゃんと画像も保存した。

Rank02


もちろん、さらに上には『夢をかなえるゾウ』(5位)とか、『ハリー・ポッターと死の秘宝』(4位)といった至高の神々の世界が広がっている。でも、もうこれで十分である。それよりも、いったい、どうしてこんなことが起きたのか、まるで見当がつかなかった。そこで担当者に頼んで全国の新聞の読書コーナーを調べてもらったところ、やっとそのわけがわかった。


文筆家の大竹昭子さんがこの本について評を書いてくださり、それが熊本日日新聞と沖縄タイムズと下野新聞、中国新聞などに掲載されたらしいのだ。大竹さんには感謝の言葉もない。もっとも書評が載ったから売れるというものでもないので、買ってくださった方にはさらに感謝である。アマゾンにレビューを書いてくださっているケイさんという方にも多謝である。


とはいえ、アマゾンのランキングは一時間ごとに更新なので、ベスト10はつねに入れ替わっている。いま(pm18:38)のぞいてみたら、すでに89位に後退していた。74位というのは瞬間最大偏差値のようなものだったのだな。でも、もう十分である。いい夢を見せてもらった。。。と満足している場合ではないのだが、そんなにすごいランキングに入らなくてもいいので、世の心ある人に手にとって読んでいただければ訳者として、これにまさる喜びはない。すぐに役に立つとか、お金が儲かるとか、もてるようになるとか、そういう本ではまったくないけれど、心の奥底に、しんと澄みきった湖のような空間をつくってくれる本だと思うので。


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コメント

 まったく夢のようなランキング順位ですよね。私も、自分と自社の本と知人・友人の本すべてひっくるめて、アマゾンのランキングが2桁というのは初めて見ました。まさに神の領域というか、犯さざる聖域への侵入というか。

 うちの本では、最近『セルフビルド』が数ヶ月にわたって1000番台を上下していましたが、だからといってアマゾンからどっと注文が来たというわけでもなく、いったいあの順位はどういうことなのか、真意が計り知れない謎です。

 ともあれ、なにしろ2桁順位なんですから、売れたことは間違いないでしょう。おめでとうございます。これで、今度うちから出す真知さんの新刊に弾みがつくといいなあ。

すっごーーーーーい!!!
ひゃああ、真知さんが遠い神の存在になってしまって驚き、でも素直にうれしいです。
ケータイ小説でもデブ本でもないのに……本当におめでとうございます。

ありがとうございます。まだ、かろうじて神々の領域にひっかかっております(89位。00:45/2 Feb, 2008)。まったく期待も予想もしていなかったので、神になった実感がありません。
彼岸の世界にいるオンム・セティにお神酒を供えることにします。

アマゾンのランキングが上がっているそうで、おめでとうございます!

私も沖縄の新聞の書評(琉球新報)を見て注文しました。とても、面白かったので自分のブログでも紹介し、ここのブログも紹介させていただきました。

田中さんのブログを読んだ友人から「なんだか、本をタダで読ませてもらったみたいで得した気分になったわ」と電話がありました。ブログもとても好評です。

本がガンガン売れて、液晶テレビの巨大なやつが購入できるといいですね。

>catalinaさま
琉球新報にも出たのですか。よかったらcatalinaさんのブログのアドレスを教えてください。紹介してくださってありがとうございます。ブログも気に入っていただけて、よかったです。

>液晶テレビの巨大なやつが購入できるといいですね。

そうですね。最近は色のおかしなのにも慣れてきたのですが、パネルクイズアタック25は、青と緑のパネルの区別ができないので困ります。

真知さん、こんにちは。
本日(2/10)の長崎新聞書評欄にも、同じ大竹さんの書評が載っていましたよ。
これで長崎県内での売り上げがどうなるか、分かりませんけれど。

情報提供まで。

>lalombeさま

長崎新聞にも出たのですか。
どういうしくみで載るのかわかりませんが、知ってもらえるというのはありがたい。
お知らせありがとうございました。

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