ラジオ深夜便
秋になってしまった。唐突な更新のうえ、緊急で恐縮ですが、今夜(10月12日)夜11時15分からのNHKラジオ深夜便(NHKラジオ第一放送)の「読書で豊かに」というコーナーで、パーソナリティーをつとめる宗教人類学者の植島啓司さんが拙著『孤独な鳥はやさしくうたう』を取り上げてくださるそうです。時間のある方は聞いてみてくださいね。
前にも書いたが、植島啓司さんとは、ずいぶん前、バリ島で会った。たまたま泊まっていたホテルが同じで、朝食の席でうしろのテーブルに座っていたのが彼だった。眉間にしわを寄せてパパイヤを口に運びながら、英語のペーパーを読んでいる彼からは、もてる中年男とはこういうものだという雰囲気がびりびりと放たれていた。
会話の中で、ぼくがカイロに暮らしていたというと、「カイロですか。あそこのシェラトンのカジノにはよく行きました』といった。カイロの話をして、ピラミッドでもイスラムでもなく、いきなりカジノの話が出てくるところがすごい。そうなのだ。植島さんは世界を股にかけるギャンブラーでもあるのだ。競馬でもカジノでもドッグレースでも麻雀でも何でもやる。ぼくはギャンブルはぜんぜんしないのだが、それでも植島さんのギャンブル哲学にはどこか武道に通じる深遠な精神が感じられる。
彼の『賭ける魂』という本には、こうある。「勝つことの次によいことは賭けて負けることであり、いちばんよくないのはやらないこと、やれないことである。……われわれの人生は実際には勝ち負けによって成り立っているのに普段はそれが覆い隠されている。ギャンブルは勝つことや負けることの意味を改めて実感させてくれるし、潔さというものを教えてくれる。もっとも大事なことはむしろ〈負けること〉の背後に隠されている」
「賭けて」という言葉を取り、「ギャンブル」を「武道」に置き換えても意味が通じる。そうか、いちばんよくないのはやらないことなのか。そこで刺激されて自分も競馬必勝法の類の本を何冊か買う。「月100万円も夢ではない!」「的中率80%」「競馬は賭け事ではなく投資だ」といった、たのもしいコピーが表紙に踊っている。読んでるだけでなんとなくわくわくしてくる。でも、こんなんで本当に月100万も夢ではないのか? だったら、みんな働かなくなってしまうのではないか、といった考えがちらっと浮かぶが、いやいや、モテル男になるにはギャンブルだと自分を説得する。
ところが、妻に「これからぼくは競馬で稼ぐ!」と宣言したら、なにいいだすのよ、これ以上負けてどうするのよ!&%呆○怒$#*嘆#$&殺!%?!(以下略)といったけっこう痛いところを突いた反応が返ってきて、結局実現していない。話がずれてしまったが、そんなわけでもっと早く紹介しておけばよかったのですが、よかったら今夜のラジオ深夜便、聞いてみてください。それでは次回の更新がすばやくできると思う方に1000円!
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コメント
真知さま
すばらしいタイミングでラジオを拝聴できたのは、ご光臨のおかげだったということが、今わかりました。
優しい語り口の方でしたが、そんな素敵なギャンブラーだったんですね。
お声をもう一度聞きたくなりました。
真知さんも競馬で一儲けしたら、ぜひごちそうしてくださいね♪
ところで、大連のスパに行きたいそうですが、どのメニューをご注文??
(きゃ~!はずかしい!)
投稿: ゆうこ | 2008年10月14日 (火) 13時08分
>ゆうこさま
番組が聞けてよかったです。
>競馬で一儲けしたら、ぜひごちそうしてくださいね
了解です。予約受付番号一番に登録させていただきます。
大連のスパの希望メニューですか。
そりゃもう、決まってます(ここではいえません)。
投稿: 田中真知 | 2008年10月15日 (水) 18時29分
男と女の違いは脳のしくみにある、とかいう本が流行ったことがありましたが、ギャンブルについて、
女性は(一般論として)人生において、わが子の父を選抜するという大勝負をしなければならないので、その他の賭けには興味がもてないんだそうです。
つまり、真知さんの目線の先におられるその女性は、あなたに人生を賭けた大勝負師なんですよ。
投稿: 下野 良子 | 2008年10月16日 (木) 23時11分
>下野良子さま
そうだったのですか。ひょっとして穴馬を狙ったつもりだったのかもしれませんが、とんだことに……。
投稿: 田中真知 | 2008年10月17日 (金) 11時15分