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空白は悩ましい(中)

すみません。やや遅れて「明日」がやってきました。アラビア語では「明日」は「ボクラ」といって、実質的には「いつか」と同じ意味ですが、もちろん、そういうつもりではありません。さて、前回のつづきですーー。

 
 
 

「10万」と記入した書類をポストに投函してから数日後、件の学校から書類が届いた。なんとなくいやな予感。開けてみると、手紙が一枚。


「先生より、利用料10万円とのご指示をいただきました」


(ふむふむ)


「しかしながら、今回と同じケースの場合、日本文藝家協会では1050円、日本ビジュアル著作権協会では5250円の使用料となっています」


(へっ・・・?)


「両協会に属しておられない御著者の場合は、概ね、この間でのご呈示をいただいております」


(ハァ・・・・)


「今回のご提示額と通例との隔たりに驚いております」


(・・・こちらも・・・驚きました)


「・・・できれば、これを目安に5250円(税込)でお願いできればと思います」


って、結局、空白の欄であっても、空気を読んで「常識的な」額を書くことを期待されていたわけである。ということは、そこに3日悩んでやっとの思いで「10万円」などと書いた自分は、とんだ非常識者ではないか。


おそらく、こちらが出した書類を受け取った学校の担当者は、その額を見てびっくりしたのだろう。そして上司に「こんなのが来ました」と持っていったのだろう。それを見た上司は、
 

「ああ、たまに、こういうのがいるんだよ。今年はヘンなのに当たってしまったな」


「有頂天になって、欲の皮をつっぱらせたのかもしれませんね」


「そうだろうな。こういう常識知らずには、ひとつ世間の常識というものをガツンと教えてやらねばいかんな。よし、私が一筆書いてやろう」


「よろしくお願いします」


てな会話がなされたかどうかは定かでないが、上司の名で書かれた手紙は慇懃ではあるが、こちらの申し出は論外、もう一度金額を記入して送れとのことだった。


でも、それならば金額欄を空白にするなんていう思わせぶりなことはせず、初めから1050円か5250円のどちらかを選んでくださいとでも書いておいてくれれば、いらぬ欲望をかきたてられることもなく、価格コムでデジタル一眼レフのコーナーをクリックすることもなく、邪念にふりまわされる自分にげんなりすることもなく、平和な気分で日々を過ごせただろうに。


こんなよんどころない気持ちは前にも経験がある。思いあたったのはエジプトだった。似たような経験のある人は多いだろうが、土産物屋でなにか買おうとするときや、ガイドをした男に報酬を払おうするとき「いくら?」と聞くと、「好きでいい」といわれることがよくあった。


「好きでいい」といわれても、本当に相手が字義通りにそう思っているわけではない。うかつな額を渡すと、「なんだ、これは?」とか「ありえない!」とかいって相手が怒り出す。結局のところ、相手が「好きでいい」というときは、こちらに対して空気を読めという無言の圧力をかけているのだ。


そんなことを思いだしつつ、こちらとしてもどうもしっくりこないので、返事を書いた。呈示された金額5250円で了承するとしたうえで、次のような手紙を書いた。


 ・・・今回、○○様の方で、どのような意図であのような書き方をされていたのか、私の方では図りかねました。著作権利者の意図や権利を尊重してのことなのか、それとも、いわゆる空気を読むことを求められているのか。そこで、あえてあのような金額を提示させていただきました。
 個人的には、現在、日本で作家の置かれている立場は低く、著作権利者としての地位も脆弱であると感じております。他業種と異なり、原稿の執筆にあたっても稿料その他についてあらかじめ相談されることは、ほとんどないという異常な状況が常態化しています。お手紙にあった日本文藝家協会の1050円という額は、たとえなんらかの合意がなされた額であるとしても、ほとんどボランティアであると感じざるをえません。
 そのような所与の状況を当たり前と思ってしまう感覚を疑うというのが、ご引用いただいた拙著の意図でもあり、その意味も込めて、差し出がましいことを書かせていただきました。ご容赦ください。・・・(一部省略)


書いているうちに、これはただ愚痴をこぼしているだけではないかという気分になってきて、ウツウツと落ち込んできたが、なにかいわないともっとウツウツしてきそうだったので、ぱっと書いてぱっと出したところ、ほどなくして返事が来た。


 ・・・こちらがあらかじめ金額を決めていたわけではないのですが、これまでの経験からある程度の幅で金額を想定していたことは否めないところでありますし、先生のおっしゃるように、金額提示をしないことが却って著者の方を困惑させ、不快にさせることになってしまったこと、誠に申し訳なく存じます。所与の状況を当たり前と思ってしまう感覚を疑う、という先生の御著書の意図、それを読み、使用させていただいた者としては肝に銘じていく所存です。・・・(一部省略)


はい、わかっていただければいいんです。ガツンというつもりが、愚痴っぽい、みじめな気分になってしまった。もう、なんでもいいや、と思っていると、さらにべつの学校から同じような書類が届いた・・・。


 

(すみません、まだつづきます。つづきは明日といいたいところですが、やや自信がないので数日内としておきます)

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「雑記」カテゴリの記事

コメント

<価格コムでデジタル一眼レフのコーナーをクリックすることもなく、
>爆笑!

愚痴ではなく、まったくその通りです! 文芸家協会の標準、というのがあるのは初めて知りましたが、これはちゃんと確認する必要があります。上記の学校のいうような、社会的に認められた標準的なものではないはずです。
(そうだとしたらば、今までに当方もこの「標準」に抵触する金額を何度も要求しているので、同じ反応が返って来たはず)
最低限、400字詰め(死語!)1枚2000円換算でカウントした「原稿料」を請求しても、非常識ではないはずです。
あちらが非常識なんですよ。
だから断ってもいいのですが、こどもに自分の文章を読んでもらうほとんど唯一の機会!と思えば、断る著者はほとんどいないでしょう。
そういう著者側の気持ちを見込んだ上での、低劣な金額の提示、と「教育なんだから当たり前」という高圧的な態度は、ほんとに文部官僚、教育“産業”関係者の駄目なところですね。腹立ちました!

なるほど〜、日本文藝家協会が著作者の保護を考えていないところから起きるモンダイでもありますね。インドネシア的習慣から推測/邪推すれば、文藝家協会がピンハネしてます、これは。
永六輔『職人』のなかに、現役職人のことばとしてこんなのがありますよ。
「安いから買うという考え方は、買物じゃありません。必要なものは高くても買うというのが買物です」
くだんの担当者クンにぶっつけてあげるといいですよ、このことば。
では、つづきをいつの日にか!

ええ~~!!
1050円~~~?!!shock

よくわかりませんが、私立入試って受けるだけでも、
受験者は高いお金をはらうんですよね・・・annoy

まあ、手紙を書いた担当者の責任ではないにしろ。
問題は根深いですね。

>チャーリーさま

1050円は日本文藝家協会の会員の場合ということらしく、それに属していないひとは、このかぎりではないということらしいですが、それでもこれをスタンダードとして呈示してくるところは多いですね。


>たぶんbananaさま

ピンハネはどうかわかりませんが、天下り団体ではないみたいですね。でも、なにやっている団体なのだろう。

「安いから買うという考え方は、買物じゃありません」

う〜、だとすればユニクロで服を買うのは買い物ではないな。。。


>ゆうこさま

私立中高の受験料って3万とかしますよね。まあ、学校経営もたいへんな時代だし、財源がないという問題もあるのでしょうが、いちばんしわ寄せが来るのが末端の書き手だったりする状況は、なんとかならんかなと思います。


上・中、と読ませて頂きました。


まったくふざけた大馬鹿野郎としか言いようがないですね、相手。

・・・で、ギャラについては私もいつも頭を悩ませている問題です。
仮に、広告系の仕事で、使用範囲(印刷するツールの種類)や部数や
試用期間が同じ仕事でも、会社によって、提示される金額が雲泥の差だったりします。でもって、予算なんて本当は最初っから出されているはずなのに、こちらに「いくらぐらいなら・・・?」と探ってくるわけですよ。
こちらの提示が少なければ「ラッキー!」といった感覚なんでしょう。

私も異常に自己評価が低いもんで、てんで強気に出られず、真知さんの
悶々の課程は、よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っくわかります。(涙)

実際、似たような事がけっこうありました。
さんざん迷ったあげくに提示したら、相手が「はあ?」みたいな態度で。なら最初っからこちらへ言え!!!と激怒ですわ。

まあ、今や広告の仕事をほとんどやってない身なので無関係となりましたが、未だ依頼者とのバトルはあります。

で、私の結論としては、値段は自分で決める以外ない!!
自分の価値は自分で決める!!を肝に据える以外ないんじゃないかと。

「私はこれだけの価値あるものを提供しているのだ」という事に対して
「最低でもこの金額までなら気持ちよく仕事を引き受けられる」という線引きをはっきりさせるしかないんあじゃないかと。
自分で決める

あ、最後の行、勝手に尻切れになってました。

>おーもりさま

「自分の価値は自分で決める!!を肝に据える以外ないんじゃないかと」
そのとおりですね。
この数年の口癖が「定めなら仕方がないよ」(ナウシカのおばばさまの科白)なのですが、これを返上しなくてはな。

僕の場合の二次使用は中学国語の問題集でしたが、調べたら印税率5%のページ割という順当なものでした。次年度の問題集にも掲載されれば、契約は継続し、また2000円未満になる場合は、2000円でと記されています。
これはS社出版の本で、S社の担当部署及び、編集担当者が確認後、「この問題集を作成している会社は老舗ですし、契約上も問題ありません」と助言をもらいました。
著作権に関してはS社は、著作権者の権利を保護するという出版社と著者の契約を真摯に対応してくれてます。NHK大河ドラマ『篤姫』の時など、専属の著作権担当者を一人付け、一年間付きっ切りで対応したそうです。
今回真知さんが、不愉快なことになってしまったのは、真面目に考えれば、出版社にも責任があるように思えます。
真面目すぎる話ですみません。

>岡崎大五さま

コンピューターを修理に出していて返事が遅れました。すみません。
(下)に書きましたが、二次使用についての法的著作権が発生するにもかかわらず、その使用料についてのスタンダードな取り決めがないというのが、事をややこしくしているのだと思います。出版社の責任、というのとはややちがうと思います。

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