« あけましてハピドラム | トップページ | 辻佐保子先生とのお別れの会のこと »

ポンガル@国分寺カフェスロー報告

遅ればせながら、前回紹介した1月14日のポンガル@国分寺カフェスローは、とても楽しかった。ポンガルとは「南インド、とくにタミル・ナードゥ州とアーンドラ・プラーデシュ州で盛大に祝われる収穫祭」だそうで、それを模したイベントだったのだが、なんといっても、マサラワーラーさんたちによってつくられた南インド料理(ミールスというのかな)がよかった。

 
南インドには行ったことがないので、南インド料理といえば練馬のケララバワンでしか食べたことがないのだが、蔵前仁一さんが「日本でこんな料理が食べられるとは思わなかった。南インドのと同じだよ」といっていたくらいなので、そうなのだろう。日本でインド料理というと、たいていタンドーリチキンとか、マトンやチキンのカレーとかが思い浮かぶが、南インド料理は基本的には菜食。日本にはあまり紹介されていないが、じつにヘルシーで、食べやすく、しかもおいしい。


バナナの葉っぱの上に、ごはんにくわえて、つぎつぎといろんなカレーや炒め物などのおかずが並べられ、それを手でぐちゃぐちゃに混ぜながら食べる。ピーマンもジャガイモもまぜこぜにして、揚げせんべいを指先でぼろぼろとくだいたものをふりかけ口の中にほうりこむ。見た目はなんだが、いろんな味が口の中で混ざり合い、マンダラのような味覚の世界が広がるのが新鮮だった。食べるのに夢中で写真も撮らなかった。

 
料理がおいしいだけでなく、マサラワーラーさんたちの雰囲気がいい。あのあっけらかんとした笑顔は、こういう時代には心にしみる。かれらのイベントに人気がある理由もわかる。いい料理は人の気持ちを温かくしてくれる。中身はまるでちがうが「バベットの晩餐会」を思い出した。


マサラワーラーは武田尋善さんと鹿島信治さんという二人組のインド料理ユニットなのだが、武田さんはアーティストで、絵から壁画から造形から、ちょっとニキ・ド・サンファルなんかを思わせる、総天然色縄文スタイルとでもいうのかな、たいへんパワフルな表現をされる方で、鹿島さんはシタールを演奏し、打楽器のユニットもやっているという。料理とアートを組み合わせたパフォーマンスなどもされているらしい。


出し物は堀友紀子さんのバラタナティヤムというタミル・ナードゥのインド古典舞踊と、久野隆昭さんのガタム(南インドの壺の楽器)と竹原幸一さんのモールシン(南インドの口琴)の演奏、それにわたしのハピドラム。堀さんの舞踊はいちばん後ろから見ていたので、足下がよく見えなかったのだが、肩から手、指先へとつらなる動きがきれいだった。太極拳などの武術でもそうなのだが、いい動きには「勁」といわれる全身を連携させる力の動きがある。これは舞踊にも通じるのだな。


久野さんと竹原さんの演奏は圧倒的だった。西洋音楽とちがって、南インド音楽には楽譜がない。そのためこれらの楽器を習うときには、基本的には先生の真似をすることになるのだが、そのとき楽器の音を口で真似する練習をするのだという。


たとえば三味線だと、弦をはじいた音を「チン、トン、シャン」といった音で表現するように、インドの打楽器でも壺を叩いたときの音をその叩き方によって「トン」とか「カ」とか「ドン」とか「ティク」とか「ダー」といった言葉に置きかえ、それをつなげてリズムがつくられる。たとえば、師匠がティータカドンタカティータカトンタカ(←適当)と口ずさむと、弟子がそれをガタムやモールシンで追うように演奏するのだそうだ。言葉とリズムは入れ替え可能なのである。


ただ、このティータカタカタカ…をいうのがおそろしく早い。知らなければ早口言葉を唱えているようにしか聞こえない。しかも、そのワンフレーズが文字に直したら、軽く文庫本一ページ分くらいはありそうな長さだ。つまり、おそろしく長い早口言葉を唱え、そのあとそれを楽器でそっくりそのまま再現する、という感じなのである。


そんなにたくさん記憶できるのは、そのティータカタカタカが言葉と同様の秩序をもっているからなのだろうか。端で聞いていると神業のように見えるのだが、見たことのない人にはわからないと思うので、あとの動画を見てください。ちなみに、口で言うことができれば、そのリズムは叩くことができるのだそうで、逆にいうと口で言えるようにならないと、そのリズムは叩けないということなのだろう。


当日の様子はマサラワーラーの武田さんがYouTubeにアップされている。久野さん・竹原さんのパフォーマンスも一部聞ける。ハピドラムはカメラの位置が遠かったせいか、あまりうまく録音されていないのが残念。別に録った動画もあるが、低めの音なのでどうしても音がこもりがちになる。録音の仕方が課題だな。


久野さんや竹原さんの演奏があまりにすごいので、前座としては恐縮してしまったが、彼らにそういうと、そんなことないですよ、よかったですよぉ、とちゃんとフォローしてくれる若者の思いやりに感動した。お二人ともさわやかだし、イケメンだし、もうお手上げ?です。




ミニCDもつくった。買ってくださった方、ありがとうございます。

Rimg0016_3


 


※ 三谷眞紀さんのブログにもポンガルの記事が。写真もたくさんあります。

http://apakaba.exblog.jp/17335201/


|
|

« あけましてハピドラム | トップページ | 辻佐保子先生とのお別れの会のこと »

「音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« あけましてハピドラム | トップページ | 辻佐保子先生とのお別れの会のこと »