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キンシャサで拉致されかける

また間が空いてしまいましたが、9月の頭に日本を出て、マダガスカル、ケニアを経て、いまはコンゴ民主共和国のキンシャサにいます。フェイスブックでは、あひるさんとかっぱくんもまじえてちょくちょく報告を書いているのだけど、こちらはご無沙汰になってしまった。順序が前後するけれど、まずは20年ぶりのキンシャサのことから。


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キンシャサでは、まず外を歩いている外国人を見ない。治安上の理由から各大使館は自国民に対して、「外出時はかならず車を使うように」という通達を出している。だから1000万を超える大都市で、しかも中国をはじめ、さまざまな外国人が暮らしているはずなのに外国人の姿を見ることはない。旅行者の姿もない。



乗り合いバスやタクシーなどの交通機関はあるが、カイロのようにこつがつかめれば乗れるという感じではない。乗っている外国人もまったく見ない。拉致されたりという危険があることから、これらも使ってはならないということになっている。つまり自分の車のない外国人は外へ出ることすらできない、という異常な状況なのである。


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でも、ほんとうにそれほど治安が悪いのか。こちらに暮らしている方の話では昨年の選挙以降、落ち着いてきていて、それまでの殺伐とした雰囲気も薄れているという。悪名高いキンシャサの空港でも意外なほど入国手続きはスムースだった。ひとびとの顔つきも予想していたような荒んだ感じではなく、なんとなくではあるが、ほっとしたような落ち着きが感じられる気もした。

 
 


やはり自分の足で歩かないと街の感触はつかめない。そこで日中の大通りなら大丈夫かな、と思ってち散歩してみることにした。地図と小銭と携帯とカメラだけ持って片道3車線の大きな通りにそった舗道をサングラスをかけ、帽子をかぶって歩いた。人通りもある。たまに「ヒーホー」(ニーハオの訛り)とすれちがいざまに声をかけていくやつがいるくらいで、あとは適度に無関心をよそおう。


 
 

半時間ほど歩いてこれなら大丈夫かなと思っていたところ、一台の白い車がわきに停まって「警察だ、パスポートを見せろ」という。どう見ても警察車両には見えないぼろ車の中に、見るからに人相の悪い大柄な黒人が4人。助手席の男が降りてきて「パスポート」とくりかえす。「わたしは悪いひとです」と顔にはっきり書いてあるような男だった。

 
 


まずいのはパスポートを置いてきたことだった。コピーだけでも持っておくべきだった。そこで「いまは持っていない、置いてきた」というと、男は「それならおまえの家に行って確かめる。乗れ」といって後部ドアを開けた。中から一人降りてきて、ぼくをそこに押し込めようとする。男は手に警察手帳と手錠をちらつかせるが、それが本物であろうとなかろうと、これで乗ったらどうなるかはだいたいわかるさ。


 
 
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「大使館に控えがあるのですぐに確認できるから」といって携帯で大使館に連絡をとろうとすると、「切れ」といわれる。「これはおまえの大使館の仕事ではない、おまえはパスポートをもっていない、だから、おまえのパスポートとビザを確認するのが、おれたちの仕事だ、大使館には車で連れていく、乗れ」となおも強い調子でいう。

 
 


こっちにはパスポート不携帯という負い目がある。下手に反抗するのはまずい。でも車に乗るのはもっとまずい。こちらが「車には乗れない」というと、「わたしは悪いひとです」と顔に書いている男は「俺を怒らせるな」という。さらに「この国はたくさん問題を抱えている。だからこうして警戒を厳重にしているんだ・・・」という。


 
 

おっ、これはつかえそうだと思い、そこで、たくさんの問題とは何ですか、と逆に質問する。男は無表情に、キブ州での紛争や、テロリストの問題だ、といったようなことをいう。そこで「私がテロリストだというのですか?」と聞く。「テロリストはこんなところをひとりで歩いていませんよ。私は悪い人間ではありません。あなたと同じくいい人間です。でも、あなたのほうがいい人間だ、なぜなら、あなたはこの国の治安を守るという立派な仕事をしている。あなたのような人間を尊敬する。コンゴ人はすばらしい。。。」などと自分でもやれやれと思いつつ話をだらだら長引かせる。その一方で、「私は大使館で××時に大使に会う約束があるので、私が行かないと心配されていると思う」などと牽制しつつ相手の反応を見る。男はいらだっているようだったが、こちらから批判めいたことはなにもいっていないので、とまどっていた。


 
 
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相手がナイフや銃のような武器をとり出したら終わりだが、手錠以外には相手はなにもとり出さなかった。真っ昼間なので人目もある。とはいえ、エジプトのようにまわりが干渉してきて見方になってくれそうな雰囲気はない。得体のしれない中国人がどうなろうと知ったことじゃない。むしろかかわりになりたくない、という空気が伝わってくるので、とりあえずだらだら話を長引かせて20分くらいそんなふうにしていたら、不意に相手が車に戻って、ドアを閉め、空いた窓からふりむかずに手を振ってそのまま車を発進させた。遠ざかる車を見ていたときに、にわかにひざの力がぬけた。難を逃れることができたのだ。。。


 
 

もし、これで車に乗ってしまうとどうなるのか。聞くところによると同様の事件はキンシャサでは頻発していて、乗ってしまった日本人もいるという。そのひとは携帯からお金から、そのとき持っていたものはすべて奪われて、解放されたという。命までとられることはないらしい。


 
 
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ほかのケースとしては書類に不備はないにもかかわらず、警察や入国係官に金銭を要求され、それを拒むと留置場へ入れられてしまったというのもある。10ドルだかそこらのお金(多くとも50ドルくらい)を払ってしまえば、一時的にいやな思いをするだけで通過できるのに、それを拒んだばかりに不衛生な留置場に何日も収監され、病気になってしまったというケースもある。


 
 

本人が他の収監者の携帯でなんとか大使館に連絡をとったものの、それを知った係官が大使館が介入するとまずいということで、正式なビザをもっている旅行者を強制退去させてしまった例もある。理由のない金は払いたくないのはやまやまだけれど、時と場合に応じては10ドルないし50ドルくらいを払ったほうがスムースにいくこともある。大使館にも迷惑がかからない。なるべくけちらないほうがリスクは減る。

 

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ぼくに声をかけた自称・警官が本当の警官だったのかどうかはわからない。少なくとも警察証は本物に見えたし、フランス語だけでなく英語も話せたので教育もそこそこある元警官だったのかもしれない。けれども公務員への給料の不払いによる暴動がなんども起きているこの国では、生きていくために本物の警官だって悪事に手を出すことはふしぎなことではない。だれだって悪いことをしたくて悪いことをしているわけではない。悪いことをしないと生き延びられないから悪いことをせざるをえない。この国にはいま中国を中心として大規模な投資がなされ、建設ラッシュで経済成長率もあがっているが、悪いことをしないと生きられない人たちの数がいぜんとしてたくさんいる社会を「成長している」などとは呼びたくない。



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コメント

お久しぶりです!コンゴにいらっしゃるのですね。無事で何よりです。

キンシャサ、やっぱり怖いですね。拉致されかかったのはどの辺りでしょうか?私もキンシャサの街を一人でふらふら歩いていましたから決して他人事ではないです…。

コンゴは治安が悪くなければいい国なんですけどね。SKOLビール、また飲みたいなあ。

>mari_neko さん
その節はお世話になりました。
場所はゴンベ地区の6月30日通りです。いちばんのメインストリートなので大丈夫と思っていたのですが、あとでひとに聞いたらかえって危ないそうです。下町のマトンゲ地区のほうが逆に安全かもしれません。

秘密情報で、真知さんがコンゴに行っているのは知っていました。無理はしないで十分気を付けて旅をしてください。ぼくが言うまでもないですけれど。

>岡崎大五さま 
ありがとうございます。秘密情報じゃなくて入れると思っていなかったんですよ。入れたことは入れたんですが。。。といったところです。

あっぱれな治安の悪さですね。
大丈夫だとは思いますが、どうぞお気をつけて。

ああ、やっぱりそこですか。私もここは大丈夫だろうと思って歩いてたんですが、後で誘拐多発地帯だと知ってぞっとしたところです…。むしろマトンゲ地区の方が人が多い分、まだ安全みたいですね。

今回はキンシャサ以外にもコンゴ国内を旅行されるんですか?またご報告を楽しみにしています。

>すぎまるこさん
ありがとうございます。その節はお世話になりました。十分きをつけます。

>mari_nekoさん
やはりそうだったんですね。大通りのほうが危ないとはやれやれです。このあとはどうするか計画中です。

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