« 「魔女と呼ばれた少女」はとてもよかった | トップページ | 八ヶ岳山麓のアフリカンアートミューゼアムはすごい »

横谷宣写真展4年ぶりに開催決定!

今回はほんとうに、とてもうれしいお知らせだ。横谷宣さんの写真展が4年ぶりに開催されることが決まった。場所は4年前と同じく神田明神の近くのギャラリー・バウハウスで6月5日から8月10日まで。
↓くわしくはギャラリーのウェブサイトを見てほしい。

横谷宣写真展「森話」

130605_yokotani
©Sen Yokotani


横谷さんとその写真のことは自分の本の中や、このブログでもたびたび書いてきた。かれの作品は、デジタル全盛のいまの写真とは真逆といっていい手法でつくられている。


レンズは手作りで、現像や焼き付けはカルバミドという特殊な調色法を用い、一枚の写真が完成するのに半年ほどもかかる。しかも、それまで使っていた印画紙が製造中止になってしまったため、ついに印画紙まで自分でつくるようになり、それが4年かかって今年の初めにやっと完成した。


そうやって、できあがった写真は、すみからすみまで、どこをとっても、だれにも真似のできない、横谷さんの写真になっている。そうなのだ。かれの写真は真似のしようがないのだ。


たとえ、プロの撮影した作品であっても構図や色合いを似せて、「それっぽく」撮ることなら、ちょっと器用な人ならできるかもしれない。いまのカメラは性能がいいし、すくなくとも、そんな誘惑にかられるかもしれない。でも、横谷さんの写真はそういう甘やかな幻想をはなから打ち砕く。どんなにいい機材を使おうが、かれが撮影したのと同じ場所へ行こうが、かれのような写真は絶対に撮れない。この世界の延長線上にはない次元のちがう美しさが印画紙の中に封じ込められている。


4年前の最初の写真展「黙想録」は、まったく無名の写真家の初めての写真展でありながら、口コミでたいへんな評判を呼んで、雑誌や新聞にまで取り上げられた。そしてふだん写真などとくに関心のない人たちが、かれの写真に魅せられてたくさんやってきて、作品を購入していった。毎日のようにギャラリーに通って、同じ写真の前でじっとたたずむ人もいたという。

Sankei_2

そうなのだ。かれの写真はけっして難解ではない。現代アートにありがちな思想が先行したコンセプチュアルなものでも、感覚や偶然性にたよったものでもない。むしろ一見すると、とてもわかりやすいとさえいえる。でも、そのわかりやすさが通俗性やなまぬるさにつながらず、おそろしいほど研ぎ澄まされた美しさへと昇華されている。それを可能にしているのは、感性や直観をごまかさずにかたちにするための精緻な技術なのだと思う。


「森話」と名づけられた今回の写真展は、新たに撮り下ろしたものではなく、かれがアジアの遺跡で撮影した作品のバリエーションが中心になっている。ほかに前回の「黙想録」で発表された作品も一部展示される予定である。前回来た方も、前回見逃した方もぜひ見に来てほしい。オリジナル・プリントの凄みは、ネットで画像を見るのとはぜんぜんちがう。


会期は6月5日から8月10日までと長く、6月21日(金)には横谷さんと写真評論家の飯沢耕太郎さんとの対談、6月22日(土)にはかれのこの4年間の印画紙づくりのエピソードをぼくが聞き手になってうかがう、というトークイベントも予定されている。また7月にも日にちは未定だが、旅をテーマとしたトークなども予定している。

ーーー
横谷さんについて書いた最近のエントリー↓
写真家の横谷さんはいまなにをしているのか? 2012/8/9
横谷さんの手作り印画紙 2010/1/13


横谷宣写真展「森話」(ギャラリー・バウハウス @神田)

会 期 / 2013年6月5日(水)~8月10日(土)
時 間 / 11:00~19:00
休 廊 / 日・月・祝
入場料 / 無料

ギャラリー・トーク

【第一回】横谷宣×飯沢耕太郎(写真評論家)
「森話」展に合わせて、飯沢耕太郎氏と対談を行います。
日 時 / 2013年6月21日(金) 19:00~(当日は18:00閉廊)
参加費 / 2,000円


【第二回】横谷宣×田中真知(作家・翻訳家)
自作印画紙とプリント制作について語ります。
聞き手 / 田中真知(作家・翻訳家)
日 時 / 2013年6月22日(土) 19:00~(当日は18:00閉廊)
参加費 / 2,000円

|
|

« 「魔女と呼ばれた少女」はとてもよかった | トップページ | 八ヶ岳山麓のアフリカンアートミューゼアムはすごい »

コメント

あっ、8月まであるんですね。行ける。。嬉しいかも。

投稿: 大谷祐子 | 2013年5月 3日 (金) 06時35分

>祐子さん え、そうなんですか。。うれしいかも。

投稿: | 2013年5月 3日 (金) 11時18分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「魔女と呼ばれた少女」はとてもよかった | トップページ | 八ヶ岳山麓のアフリカンアートミューゼアムはすごい »