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八ヶ岳山麓のアフリカンアートミューゼアムはすごい

山梨の山中で、道路わきにアフリカの仮面をあしらった看板があるのが偶然目に入った。そういえば以前、どこかの山の中にアフリカンアートを集めた個人美術館がある、と聞いたことがある。これがそうかもしれない。それなら寄ってみようと思い、その足で訪ねた。


建物は思いのほか、というより、おどろくほど立派だった。しかも八ヶ岳山麓という抜群のロケーション。開館前だったが、前庭で掃除をしていた男のひとに聞いたら、入れてもらえた。アフリカンアートミューゼアムというところだ。

 
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中もとてもきれい。ちょうど「コートジボワールの美術」という特別展をやっていたのだが、一瞥して展示されている品の質の高さに驚いた。地方の個人美術館というと、中には正直なところがっくりしてしまうようなところもあるが、ここはその真逆。クオリティーの高さに息をのんだ。

 

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展示に見入っていると、表で掃除をしていた男の人が来て、特別にギャラリートークをしてくれるという。この方が館長さんだった。館長さんは、最初に「アフリカンアートってどういうものだと思います?」と質問してきた。う〜んと口ごもっていると、館長さんは「多くのひとたちがアフリカンアートといっているのは、じつはエアポートアートなんです」という。


エアポートアート? 館長さんがいうには、それは文字どおり、空港の土産物屋で売っているようなお土産用として作られたアフリカの彫刻や仮面だそうだ。そういうものが一般にアフリカンアートだと思われているが、じつはそれはまちがいなのだという。


この博物館に集められているのは、そうした「エアポートアート」ではなくて、実際に儀式で用いられたり、生活の中で使われたりした彫像や仮面、工芸品だ。いずれも最近作られた物ではなく、第二次大戦以前、アフリカがまだ植民地だった時代に、白人や宣教師らが集めてヨーロッパに持ち込んだものを、ヨーロッパのオークションやコレクターから買い集めてきたものだという。


アフリカの美術品の場合、オリジナルだから価値があって複製だから価値がない、とはいちがいにはいえない。いまもそうだが、高温多湿の環境のせいもあって彫像や仮面は定期的につくり直される。また、もともと白人宣教師らにとってアフリカの仮面や彫像はいかがわしい偶像でしかなかった。ところがピカソやマチスといったひとたちがアフリカの彫刻に影響を受けたことなどがきっかけとなって、こうした造形や工芸がヨーロッパのアートの文脈の中に位置づけられていった。


ただ、当時と今とで明らかにちがっている点がある。それはこれらの仮面をつけた人物は、かつては神そのものと信じられていたことだ。


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「アフリカの儀式は日本のお神楽とはちがいます。お神楽は芸能であって、神さまに踊りを奉納するのが目的。仮面をつけてはいても演じているのは人です。一方、アフリカでは仮面をつけた人は神そのもの。まわりの人たちも、神がそこにいると信じていた。でも、いまはもうちがう。みんな、中に人が入っていることを知っている」と館長さんはいう。


たとえ、中に人が入っていることを知っていたとしても、バリの仮面儀礼のように、その仮面をかぶって舞うことによってカミが降りてきて、まわりの人までいっしょにトランス状態に入ってしまう、という感覚はいまなおあるのではないか、とも思う。ただ、たしかに、複数のリアリティの中を同時に生きなくてはならない現代では、かつてのように、そこに神がいることを、すっかり信じ込んで、その世界に没入してしまうという感覚は薄められてしまっただろう。


それはさておき、館長さんの解説はとてもおもしろかった。たとえば下の椅子はコートジボワールのダンという人たちがつくったものなのだそうだが、一見すると、ひしゃげたかんじがする。

 
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背もたれの棒の長さも左右でちがうし、短い脚も歪んでとりつけられているし、しかも長さが微妙にちがう。歪んだなりに、味わいはあるのだが、館長さんによると、かつて白人たちは、こんなふうに脚が傾いていたり、左右の背もたれの長さがちがうのは、アフリカ人がきちんとした正確な仕事ができないからだと見なしていたという。下の椅子もそうだ。
 


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装飾は立派だけど、どこかしら歪んでいて、すわったらひしゃげてしまいそうにも見える。あと、会場にマリのドゴンの建物につけられた階段の写真が展示されていたのだが、その階段の一段一段の高さが一定ではなく、段ごとに微妙に高さが異なっている。そのとなりにドゴンの家の扉の写真があったのだが、その扉を閉めた状態の写真を見ると、上や下に隙間ができている。こうしたことなども、アフリカ人の仕事のずさんさだと見なされていたという。


でも、館長さんは、そうではないという。「ダン族の椅子なんて、たまたま同じ長さの棒がなかったから、ありあわせで適当に組み合わせたらこうなった、と思われがちなんですが、そうではない。パーツをよく見てみると、わざわざ左右の長さを変えて作ったということがわかります。ずさんなのではなく、あえて、こういう形にしている。階段の段を同じ高さにしないのもそうです。対称性や均一性を意図的に崩す。それが彼らの美意識なんです」


うーむ、じつにおもしろい。では、その崩し方にはなにか特徴はあるのだろうか。それについてはちょっと思いあたることもあるのだが長くなるのでそれは次回にまわすことにして、展示されていたものをいくつか紹介する。ここからは、あひるさんとかっぱくんにバトンタッチ(注・「あ」はあひるさん、「か」はかっぱくん)。


 
 

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か「へんな かお だねえ」


あ「こーとじぼわーるには こういういきものが すんでいるのさ」


 
 
 


 
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あ「こーとじぼわーるには こんな いきものも すんでいるのさ」
 

か「ぼく こーとじぼわーる いかなくていい・・・」


 

 
 
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あ「これは あたまが ふたつある こーとじぼわーるの いきものさ」


か「こーとじぼわーるは なんだか こわいなあ」


あ「そんなことないさ こわくない やつもいるよ」

 


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あ「これなら かっぱくんでも こわくないさ」


か「すぷーんに あしが ついてる・・・」


あ「こーとじぼわーるの すぷーんは よるに なると あるきだすんだよ」


か「やっぱり ちょっと こわいよ・・・」

 
 

 
 

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あ「ちなみに これは うらのひとが きんしゃさの ろんどんで てにいれた すぷーんの かっぷるさ」


か「きんしゃさの すぷーんも よる あるくの?」


あ「そうさ そうやって ぱーとなーを みつけたのさ」


か「それで まるくなったんだね」


あ「いまは そうでも しょうらいは だれにも わからないのさ」


 

 
 
 

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あ「これは こーとじぼわーるの ぞうさ」


か「え〜・・・」


あ「どこから みても ぞう そのものだね」

 
か「そーかなあ・・・」


あ「とくに みみが まさに ぞう という かんじさ」

 
 
 

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か「これは いったい。。。」


あ「どこからみても うま そのものだね」


か「え〜〜うまなの?」


あ「かおを みれば いちもく りょうぜんさ」


か「え〜〜」

 
 


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あ「これは ぱんく だね」


か「ばんく?」


あ「ぱんくは あふりかから ろんどんに きたというわけさ」


か「へー・・・」

 
 
 

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あ「おみやげも かったのさ」


か「あ おめんだ・・・」

 


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あ「いまでは こどもたちの あいだで ひっぱりだこさ」


か「へー・・・」


 
 


アフリカンアートミューゼアム

〒408-0036 山梨県北杜市長坂町中丸1712-7
TEL:0551-45-8111
開館時間:9:30 -17:00
休館日:祭日を除く火曜・水曜


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「雑記」カテゴリの記事

コメント

すごいですね!こんなところがあるのですね。日本に。個人所有なんだ。。絶対行きたいです。
真知さんがアフリカンアートについて口ごもる場面て、、笑
スプーンのカップルと椅子が見たいけど、これは常設展示ではないのですね、、
早く行きたいなぁ。。

投稿: suga_スガ | 2013年5月29日 (水) 22時28分

>スガさん 個人所有なんですよ。「スプーンのカップル」はうちにあるやつです。

投稿: 田中真知 | 2013年5月29日 (水) 23時07分

え?エ? 「うちにあるやつ」??? 同じものが田中家にもあるということでしょうか?写真は展示品なのですよね?

投稿: suga_スガ | 2013年5月31日 (金) 17時42分

>スガさん いえカップルのスプーンの写真はうちの玄関です

投稿: 田中真知 | 2013年6月 1日 (土) 00時26分

アフリカンアートミュージアム館長の伊藤です。
先日は、来館ありがとうございました。

また、詳細なご紹介をしていただき、たいへん感謝しています。
6月6日から「ナイジェリア2500年の美術」を開催しますので、またぜひ、おでかけください。お待ちしています。

投稿: 伊藤 満 | 2013年6月 1日 (土) 13時00分

おお、館長さんですか(汗)。
先日はご親切に解説していただき、本当にありがとうございました。たいへん面白く聞かせていただきました。秋からはコンゴの美術展もあるとのことで、そちらも楽しみにしております。

投稿: 田中真知 | 2013年6月 1日 (土) 14時26分

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