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横谷宣のギャラリートーク報告

お茶の水のギャラリーバウハウスで写真家の横谷宣さんとトークイベントをした。とんでもない話になるのだろうなあ、と予想はしていたが、やっぱりとんでもない話になってしまった。いや、とんでもない話というより、横谷さんがとんでもない人だということが、ますますはっきりした。いや、わかっていたことではあるのだけれど。。。ともあれ、参加してくださったおおぜいの方々に深く感謝いたします。ありがとうございました。

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横谷さんが最初の個展を開いたのは4年前。自作のレンズを用いた独特の美意識につらぬかれたその作品は、たいへんな評判となって多数の注文を受けた。ところが、それまで使っていた印画紙が製造中止になったため、彼は印画紙を自分でつくることにした。その完成に4年もの月日がかかり、今年やっとすべてのプリントの納入をすませた。


今回のトークは、印画紙作りに没頭したこの4年、いったいどんな作業をしていたのかを、おわびかたがた説明するというものだった。会場は大入り満員。といっても印画紙作りの話は、化学や技術にまつわるかなり専門的な内容なので、正直なところ素人には聞いてもよくわからないのだが、要するに、とほうもない試行錯誤のくりかえしで、やっと満足のいく印画紙ができたという話である。


かんたんにいうと、印画紙とは紙に乳剤(感光剤)を塗ってつくる。その紙は、いわゆる画用紙のような白い紙を用いるのだが、そうした紙に含まれる水分の浸透を押さえる成分などがプリントの色合いを左右する。それがどのような成分で、どのくらい含まれているかは、前もってはわからない。そのため、とにかくあらゆる種類の紙を手に入れては実験をくりかえす。


また紙のテクスチュアや乳剤の塗り方、サイジング(にじみの防止)の仕方もプリントの質を左右する。こうすればいい、という決まったやり方はないので、薬品の塗り方や分量といった条件を微妙に変えつつ、満足のいく結果が得られるまで実験をくりかえす。いちどうまくいったと思っても、時間がたつとプリント表面に黒いぶつぶつが出てきたりする。すると、その原因を特定するために、また実験をくり返す。そうした試行錯誤に明け暮れた4年間であった。

 


トークでは彼の仕事場の写真や、印画紙作りのために自作したさまざまな道具の写真なども公開された。これが作業中の横谷さん!(クリックですこし拡大↓)

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ここは彼が借りている古いマンションの一室。もとは和室だったという。。。天井には換気用のダクトをはりめぐらし、もともと水道のない部屋にコンクリートを練るためのバットを持ち込んで、風呂から水をひいた。ホルマリン系の薬品などをつかうのでガスマスクもつける。それでも目やのどをやられて、すぐに眠くなるという症状に悩まされたという。左手に持っているのは孫の手。こういう作業中にかぎって背中がかゆくなるので孫の手は必需品だそうだ。いちど壁の裏の火災警報装置になにかが反応して、夜中に消防車が4台も来てしまったという。そのときは管理会社の人が入ってきて、部屋を見てびっくりしていたそうだが、「出るときは元に戻しますから」といって適当にごまかしたという(ごまかせるものなのか。。。?)

 


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これは薬品の温度を調整するための装置で、熱帯魚飼育用の装置を改造したものだという。


 
 

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薬品をきまった量だけ取り出するめための装置で攪拌用のプラスチックのはしと改造した注射器がついている。


 
 

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乳剤を塗るための道具。ダイソーで売っている5メーター100円の隙間テープでつくった。


 

 

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印画紙を乾かすための自作の箱。写真では見えないが、換気させるためにパソコンの冷却用ファンがたくさん取り付けてある。
 
 

 

 
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風呂場はこんなふうになっている。写真用に純水が必要なので、イオン交換樹脂と逆浸透膜と活性炭を用いたフィルター装置がついている。ふつうに風呂に入ることもできる(笑)


 
 


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ダイソーで売っている老眼鏡は拡大鏡代わり。よく見ると3つ重ねてかけている。度数のちがう老眼鏡を組み合わせてかけることによって拡大率も自由自在、なんだそうだ。。。ダイソーはヨコタニワールドに欠かせない。

 


以下、いくつか質問から。


ーー今後も、紙や乳剤の問題がいろいろ出てくると思うのですが、それに対処していると写真を撮る時間がなくなってしまったりしませんか。


「それは大きな問題なんです。やっと印画紙作りのノーハウが確立したので、できるとはおもうんですが、ただ、去年の秋くらいに見つかったこれだという紙が、どうもインターネットを見ていると製造中止になったようです。また、プリントに必要な銀がこの1年で価格が3倍に高騰してしまい、乳剤も値上がりしました。これからは乳剤も自分でつくらなくてはならないかもしれません。こんなことやっていて撮影できるのかといわれると、そのとおりなんですが、とりあえず自分はつくるのが好きで、この4年、精神的にはものすごく苦しかったのですが、それだけつづけられたのは、そうやって試行錯誤していろんなものをつくっているのが好きなんです。もちろん新作の撮影ももちろん考えていて、そのために新たなレンズ作りもしなければならないのですが、それにどのくらい時間がかかるのかもわからないのですが、それをやっていくのが楽しいので、ほっといてというか(笑)、やさしく見守ってください。


ーーいまカメラは持ってきていますか?

「いまはカメラはないんです。全部ヤフオクで売ってしまって、家にもないんです。いまとてもいい時代で、私のいつも使っているカメラはニコンのFEというやつなんですが、ヤフオクで8000円から1万円くらいで売っているんです。お金が必要なときはヤフオクに売って、必要なときに買うんです。質屋に入れていて、必要なときに引き出すという感じです。送料がかかるんですが、それはまあ利息みたいなもんです。いまは質に預けている状態です(笑)。レンズは自分でつくっているので、これはいままでも気に入らないとつくって、ということをやってきたので、すぐにできます。


ーー好きな画家とかアーティストは?

「いっぱいいますが、だれといわれても、この人というのは出てこない。10代、20代はそこいら中の画家や写真家の作品を見ていたのですが、30をすぎて自分の作風が決まったら、いっさいほかのひとの作品を見なくなってしまった。見てもどうせ自分はこっちとというのがあるので、30過ぎてからは絵や写真だけでなく本もほとんど読まなくなった。基本的な写真のことは、中学生くらいから現像していたのでだいたいのことは知っていた。またパリにいた時期にパリの図書館には100年くらい前の手法の本がある。そういうのを読んでメモしたり、やってみたりしました。その時期はいちばん作品を見た時期で、フイルム現像についてはいろんなことを試しました。


ーーフィルムへのこだわりは?

「写真を撮るときの取り方で、きれいな風景を探すというやりかたがあるとは思うのですが、それはたいへんなんです。それよりもきれいな光を探した方が早い。そこいらのどうでもいい場所であっても、きれいな光があるときれいになる。きれいな光を、きれいに撮るというのが私のやり方です。その意味では、夕方の時間帯というのが光がもっともきれいなんです。写真撮るのは夕方だけで、それ以外の時間は散歩していたりするだけで、ほとんど写真を撮りません。市販のレンズや現像液やフィルムは、すべての状態でうまくいくようにつくってある。でも、その幅をせばめて、この状態でしか使えないというふうにしたほうが、本当はもっといいものができるはずなんです。私のレンズもその時間の光を撮るためにつくってあります。昼間の時間帯につかうと紫外線が多いので、フレアの量が増えていい写真にならない。私の写真はソフトフォーカスといわれますが、いわゆるふわってしているのはきらいで、ぼけてはいるんだけれど、線はカリッとしていて黒はカシッとしまっている。画家が筆やナイフで絵の具を押しつけるようなタッチを出したいけれど、ふわっとした感じはできるだけなくそうというかんじでやってきました。・・・で、フィルムの話なんですが青側の光は乱反射しやすいので、青の感度が低くて、赤の感度が高いのを選びます。

 
ーーこの四年間なんども失敗して、荒れたり、やけくそになったりはしませんでしたか?

「なにか失敗があるとすぐに原因を知りたくなるので、すぐに原因を探るための実験をやりたくてしょうがなくなります。ひとつやると、また次にこれをやればいいはずということが見えてきて、つぎつぎとやりつづけたくなる。そこでいちばんの問題は眠くなることです。人間が寝ずにすむのならどんなに楽しいかと思います。荒れているよりも、すぐにテストをしないと、という気持ちになってしまいます。

 

ギャラリートークを見た蔵前仁一さんが「横谷“ブッダ”宣の4年間」という一文をブログにのせています。横谷ブッダ宣! なんという絶妙なネーミングだろう。ブッダにしてはあれもやりたい、これもやりたいという欲望はものすごいのだけれど、その欲望をめぐる葛藤からは解放されているという点で、やはりブッダなのかもしれない(笑)。ともあれ、本人がいうように、印画紙作りに明け暮れたこの4年間は、たいへん苦しい日々であったとともに、じつはものすごく愉しい4年間でもあったことはまちがいない。


それはひょっとしたら待つ身にとっても同じだったのかもしれない。4年前、横谷さんの作品を注文し、4年後やっとできたという連絡が入ったときの気持ちをトライアスリートでライターの謝孝浩さんはブログにこんなふうに書かれているーー
 

ギャラリーからできあがったという連絡が入った時、
手に入る喜びと同時になぜだか寂しさを感じた。
待つという行為が、かげがえのないものになっていた。
時間をかけて生み出されるホンモノを待つ至福の時間だった。

 

ーーー
 
横谷宣写真展「森話」はお茶の水のギャラリーバウハウスで8月10日までやっています。

ギャラリー・トーク第三弾開催決定!

日 時 / 2013年7月26日(金) 19:00~(当日は18:00閉廊)

「旅する絨毯」
横谷宣×田中真知(作家・翻訳家)×小松義夫(写真家)

小松義夫氏はライフ・ワークともいえる「世界の家」の撮影のため、辺境の地を含め100を超える世界各国を精力的に旅しています。
田中真知氏はエジプトに8年間滞在後、アフリカ、中東各地を取材。昨年秋には20年ぶりにコンゴ河1700kmを丸木舟で下る旅をしました。
魔法の絨毯に乗って世界を旅する三人のそれぞれの旅を語っていただく一夜です。

参加費 / 2,000円

ご予約申し込みはギャラリーバウハウスのホームページから↓

http://www.gallery-bauhaus.com/130605_yokotani.html


 


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