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鈴木純郎さんの展示がよかったこと

以前、拙著「孤独な鳥はやさしくうたう」のカバーで作品を使わせていただいた造形作家の鈴木純郎(すずきすみお)さんの展示を見に玉川大学へいった。スミオさんは芸大の院を出たあと、マサイマラにある某ロッジの内装や家具を手がけるためにケニアに2年滞在し、そのあとバリ島に移住して工房をつくってバリの職人といっしょにたくさんの家具や造形作品を制作して16年すごし、数年前帰国し、いまは玉川大学芸術学部の木工室で技術指導している。


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玉川大に職を得たのは一年半ほど前だが、以来木工室で指導のかたわらにつくった多数の作品が展示されていた。バリ滞在時の作品も一部あったが、最近の作品が中心。それもずいぶんある。「ここに来てからこんなにつくったの?」と聞くと、「ひまなんだよ」といった。ひまでも、たのまれたわけでもないのに、こんなにあれこれつくってしまうとは、このひとは、たえずなにかつくらずにはいられないひとなのだな。


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かれの作品はアートにつきまとうコンセプトとかイメージとか、あらゆるややこしいフレームワークから自由だ。天衣無縫な遊び心にあふれていて、かわいくて、ちょっと不気味で、見ていてたのしく、そしてほのかにせつない。木工が中心だが、木にこだわっているわけではなく、たまたま、まわりに木があったから木をつかっているのであって、金属でもプラスチックでもいいという。そこにあるものでつくる、ということらしい。まず自分のイメージがあって、それにあわせて素材を加工するのではなく、素材をいじっているうちにそこからイメージがわいてきて作品になる、という。


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いちばんびっくりしたのは、薄く剥いだ松材の板の木目を一枚ずつスキャンして、それを動画にした最近の映像作品。その美しさには戦慄をおぼえたほどだ。木の内側の層や虫食いやふしなどが、雲や潮のように流れたり、渦を巻いたりして、それがいつしか木星の模様のように変貌していく。木のなかに息づいている生命の流れが可視化されるかのようで、これはまごうことなき大傑作! この美しさは見ないとわからないので、たくさんのひとに見てもらう機会があるといいなあ。


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展示は11月29日まで。
玉川大学3号館ギャラリー。
造形デザイナーの鈴木よしひろさんとのコラボ展。
「たとえば、二人の鈴木が生きてきた道生きていく道」
お近くの方はぜひ。
http://www.tamagawa.ac.jp/arts/news131118.html


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コメント

真知さん、紹介してくれてありがとうございます。
動画をYoutubeにアップしてみました。
http://www.youtube.com/watch?v=xjWh_6KEm-8&feature=youtu.be

投稿: 鈴木純郎 | 2013年11月29日 (金) 10時43分

ほんとうに、すばらしいです。
みていると、胸がいっぱいになります。
ふしは、すべてを見通す目のようにも見えるし、虫食いのひろがりがまるで砂漠の崖のようにみえたりします。

投稿: 田中真知 | 2013年11月30日 (土) 12時22分

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