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小瀧達郎写真展「PARIS 光の廻廊」ギャラリートークのお知らせ&パリの思い出

お茶の水のギャラリーバウハウスで小瀧達郎さんの写真展「PARIS 光の回廊」が開かれている。古いライカのレンズで4年にわたって撮影された、小瀧さんならではの、静謐で、幻想的なトーンでまとめられた、一見すると、とてもしずかな作品群だ。ひともほとんど写っていない。にもかかわらず、そこからは「たしかにそこに誰かがいた」という存在の痕跡が伝わってくる。
 

そんなことも含めて、12月14日(土)の夜7時から、ギャラリーで小瀧さんとギャラリートークをする。ご都合のつく方はぜひ足をお運びください。小瀧さんとパリとのかかわり、撮影時のエピソード、ライカのレンズのこと、銀塩にこだわる理由などについて、話をうかがいます。レンズや銀塩の話は、ちらっとうかがったのだが、とてもおもしろかった。写真技術の進歩の中で、なにが進化し、なにが切り捨てられたのか。切り捨てたことによって、どのような表現の可能性が失われたのか、といったことなど。
 

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©Tatsuo Kotaki



小瀧達郎写真展
「PARIS 光の廻廊2010-2013」 2014年1月18日(土)まで

ギャラリートーク
小瀧達郎×田中真知(作家・翻訳家)
パリと古いライカ・レンズ、暗室作業、モノクローム・プリントの魅力などについて、聞き手に田中真知氏をお迎えし、ギャラリー・トークを行います。

日時 / 2013年12月14日(土) 19:00~ (当日は18:00閉廊、18:30より受付開始)
場所 / お茶の水のギャラリーバウハウス
参加費 / 2,000円

info@gallery-bauhaus.comへメール、もしくはお電話(03-5294-2566 )にて要予約。
mailの際はお名前・ご住所・お電話番号を明記のうえ、送信して下さい。

ーーー

で、ここではまったく関係なく、小瀧さんの写真を見ていて思い出したささやか、とさえいえない自分のパリ体験。もうずいぶん昔になるけれど、パキスタン航空でロストバゲージの憂き目にあい、2月のパリに身ひとつで放り出されたことがある。北駅ちかくの安ホテルに入り、そこで荷物が届くのを数日待った。古くて、オンボロなホテルで、暖房もなく、震えがくるほど寒いのに毛布もない。毛布をくださいとフロントにいっても、そんなものはないといわれる。しかたなく部屋の薄汚れたカーテンをはずして、ミイラのようにからだに巻いて、ベッドに横たわった。


そのとき気づいたのだが、マットレスは人の形にくぼんでいて、そこにすっぽりからだがおさまった。スプリングが伸びて腰のところが落ち込んでいるベッドはよくあるが、ひとの鋳型のようにみごとにくぼんだマットレスはなかなかない。いったい、どれだけ古いのか。そのくぼみにからだをおさめて、寒さに耐えていると、前にもこうして、数えきれない人たちが、このくぼみにからだをおさめて、ひょっとしたらカーテンを巻いて眠ったのかもしれないと思った。それはどんなひとたちだったのか。おおむね金のない旅行者や外国人、あるいは出稼ぎ労働者だったのか。部屋には、消毒薬とスパイスの入り交じったような、なんともいえないにおいがしていたが、それもまたここにだれかがいた、という存在の痕跡だった。


リルケの「マルテの手記」にも、マルテがパリで借りた安い部屋に、前の間借り人たちの暮らしていた痕跡を見つける場面がある。マルテがパリにやってきたのは20世紀の初めころだが、当時は、ベル・エポックの華やかさとは対照的に、パリには、そんな甘い夢から拒絶され、貧困と孤独にうちのめされていった、おびただしい外国人があふれていた。マルテもまたぼろぼろの部屋で、自分もまた、そんな寄るべなく流されていく落伍者の外国人なのだと感じて、不安と孤独にさいなまれるのだ。


でも、通りすがりの旅行者としては、ひとの存在の痕跡をとおして、あれこれ想像をするのは愉しい。人気のないなにげない界隈にも、そこに折り重ねられた時代の痕跡を覚えることは少なくない。風景だってそうだ。ノートルダムにのぼれば、そこから眺めるパリの風景をいったい、どれだけの人が見ただろうかと思う。19世紀だろうが、18世紀だろうが、ここからの眺望があたえる印象は、エッフェル塔はなかったにしても、基本的にそんなに変わっていないのではないか。これがパリという町の原型的な映像として、何世紀にもわたって人びとの心ににきざまれてきたのだろう。


くぼんだマットレスをいまだに使っている安ホテルがどれほどあるかはわからないが、この町にはひとがそこに存在した、生活をいとなんでいたのだと感じさせる余韻や気配が、いたるところから感じられる。一方、東京はといえば、そうした痕跡や気配を、つぎつぎと上書きして、消していってしまっている気がする。伝統的なものはあっても、生活から切り離されて骨董みたいに扱われている。街があまりに早く変わりすぎて、新しいものができると、以前そこになにがあったのかすら思い出せない。でも、そんな東京をいまの若いフランス人は魅力的だといっているんだから、きっと東京の魅力への気づき方というのがあるのだろう。たしかに、パリの魅力を発見したのは外国の文学者や芸術家だったりするし、東京の魅力も異邦人のほうが見出しやすいのかもしれない。


話がまとまらないが、小瀧さんの写真はほんとうに美しいので、ぜひギャラリーに足を運んでください。ライカの古いレンズと、手焼き?でしか出せない、このプリントのやわらかい光や質感は、モニターや印刷ではどうやっても出せないことが見ればわかります。ギャラリートークもお楽しみに。


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©Tatsuo Kotaki


小瀧達郎写真展
「PARIS 光の廻廊2010-2013」

ギャラリートーク
小瀧達郎×田中真知(作家・翻訳家)

日  時 / 2013年12月14日(土) 19:00~ (当日は18:00閉廊、18:30より受付開始)
参加費 / 2,000円

info@gallery-bauhaus.comへメール、もしくはお電話(03-5294-2566)にて要予約。
mailの際はお名前・ご住所・お電話番号を明記のうえ、送信して下さい。


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