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ハッサン中田さんのこと 2

ISISに参加するつもりだったという大学生をめぐるニュースが連日流れ、その仲介にあたった「元大学教授のイスラーム教徒」についての、さまざまな批判や憶測が流れているのを聞いていて胸が痛む。


なにしろああいう風貌だし、いわゆる常識に照らし合わせれば、そのいっていることは過激に響くかもしれない。率直なところ、自分にも彼のいっていることがわかるとはとてもいえない。いえないのだけれども、そこに彼が長年にわたって真摯に考え続けてきた理があることを疑ったことはない。


カイロにいたとき、当時留学中だった中田さん(以下、ハッサンさん)に何夜にもわたってイスラームについての疑問をぶつけたことがある。それは日本で、たとえば井筒俊彦さんのようなイスラーム哲学関連の本に描かれていたイスラームとはまるでちがう世界だった。


イスラームの知の普遍性というのは魅力的なテーマだけれど、ハッサンさんにいわせればイスラームでなにより重要なのは法学だという(彼自身も法学者だ)。高邁な哲学や、あるいは美しいモスクや、旅人を歓待するホスピタリティの世界とはまったく別のリアリティをもった世界がそこには広がっていた。


ああ、彼はこういう世界に生きているのか。それは西欧諸国の価値観に歩み寄るような物分かりのいい世界ではない。けれども、それがなければ、イスラームが宗教として形骸化してしまいかねない根っこのようなものに彼はふれているのだと感じた。


ハッサンさんがつちかってきた幅広いムスリム・ネットワークは、公安のような国家権力組織からすれば危険きわまりないものと見なされるのかもしれない。しかし、このようなネットワークをこつこつとつくってきた日本人がどのくらいいるだろう。そして、そのネットワークこそ、日本や欧米が切り捨ててきた対話のルートであり、平和へとつながる細い道になりうるのではないか。


あの風貌で、テレビやネットの動画にくりかえし出演するのがイメージ的にどうかなということはさておいて、彼と会って、話したことのある人なら、腹に一物もない、慈悲深く、邪心のない人柄にいっぺんで魅せられるはずだ。まわりに迷惑をかけないために大学教授の職を退き、イスラーム関係団体の責任者をやめ、覚悟を持って一人になり、「イスラーム学徒、放浪のグローバル無職ホームレス野良博士ラノベ作家、「カワユイ(^◇^)金貨の伝道師」、「皆んなのカワユイ(^◇^)カリフ道」家元」となったハッサンさんの身を案じるツイートが、ツイッター上にはあふれている。


かつてハッサンさんから聞いた話の中で印象的だったのは、なにかができるから、なにかを行ったからその人間に価値があるという見方をイスラームはしない、ということだった。そのことをハッサンさんはカイロにいた頃から身をもって実践していた。できない人、しない人、弱い立場にある人たちにたいして彼はとてもやさしかった。


ISISへの参加を望んだ大学生は、社会的な挫折経験をきっかけに、日本で流通しているフィクションの外に出たかった、でもシリアやISISのことはほとんど知らないと語ったらしいが、そういう人を受け入れるところもハッサンさんらしいなと思った。


人はわからないものを恐怖し、たたきつぶそうとする。逆にいえば、たたきつぶしたいものがあるならば、それをわからないものに仕立て上げて恐怖をあおればいい。オリエンタリズムがそうであったように、それは西洋がイスラーム世界に対して行ってきたことである。けれども、そのやり方はまちがっている。本当に恐怖をなくすには、わかろうとする努力をすることだ。わかるためには深い知識と信頼できる人的ネットワークが不可欠だ。その両者をあわせもったハッサンさんに、神のご加護があらんことを。


北大生支援の元教授インタビュー
公安の事情聴取を受けた中田考氏が語る「イスラム国」
http://goo.gl/eNcMEj

ハッサン中田さんのこと 1
http://earclean.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-740d.html


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専門家も首をかしげるガサ入れが、なぜ実行されたのか。
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/army/1406195517/472-474
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