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旅の達人の思い出ーー水津英夫さんのこと

カイロに暮らしていた頃、安宿に長く滞在している旅行者をときどき招いて食事をしたりしていた。単調になりがちな日々の中で、彼らの話を聞くのは楽しかった。カイロに長くとどまるような旅行者にはユニークな人が多かったけれど、中でも水津英夫(すいつ ひでお)さんには度肝を抜かれた。彼は当時71歳のバックパッカーだった。しかし旅をはじめたのは60歳からで、外国を旅するようになったのは65歳になってからだった。以来、年金を資金に年の大半を旅に暮らしていた。


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引退後に旅を楽しんでいるひとは珍しくないが、水津さんの旅は若いバックパッカーなみの貧乏旅行だった。聞けば、中国からインド、パキスタン、イラン、トルコ、シリア、ヨルダンと半年かけて陸路でアジアを横断してカイロまでやってきたという。とはいえ、旅の強者という雰囲気はまるでない。英語も話せないし、長旅をしているひとにありがちなお説教や自慢話の類もいっさい口にしない。小柄で、訥々としていて、頑固さとは無縁。あきれるほど力がぬけていて、いつもそこにいることをしずかに楽しんでいるというかんじだった。


でも、話を聞くと、旅の間に睡眠薬強盗にあったり、首絞め強盗にあったり、荷物を盗られたり、骨折したり、入院したりと、たいへんな目になんども遭っているのだ。しかし、それをまったく苦にすることなく飄々と旅を愉しんでいた。


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インターネットなどなかったから、水津さんがどこにいるかは風の噂と、たまに届く絵葉書でしか知りようがなかった。2000年頃だったろうか、モンゴルのウランバートルで、ばったり水津さんに出くわして腰を抜かしそうになったことがある。このあとどこへ行くんですかと聞いたら、アフリカまで行けたらいいのですがといっていたが、半年位したら、ほんとうにアフリカまで行って、しかも陸路、トラックの荷台に乗ってエチオピアからケニア、そしてタンザニアやジンバブエにいって、ビクトリア滝でラフティングして溺れかけたあと、ナミビアの砂漠で素裸になって写真を撮ったというので、あきれた。このとき水津さんは80歳を過ぎていた。


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その水津さんが亡くなって、今日(12月8日)で9年になる。幸か不幸か亡くなったのは日本だった。亡くなる2年くらい前に末期ガンが見つかって、なんどかお見舞いに行ったけれど、それでもやっぱりいつも飄々としていて、こういうひとは、サン・テグジュペリが書いているように「麦刈り男が、きちんと束に結わえあげてしまうと、自分の畑にごろりと寝転ぶようにして」しずかにこの世から立ち去るのだろうなと思っていたが、そのとおりになった。


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森信雄さん撮影

 

水津さんについては、いまはなくなってしまった「旅行人」誌に折にふれて書いてきた。それはただ風変わりな旅行者の個人的な思い出にとどまるものではない。ぼくにとって水津さんは、先日亡くなった水木しげるさんにも似て、いいことがあろうが悪いことがあろうが、いつだって飄々とした楽観主義をもって生きられることをおしえてくれた旅の先生のひとりだ。もちろん、だれもが彼のように生きられるわけではないし、生きる必要もないけれど、旅先で偶然、水津さんに会ったことのある人たちの中にも、彼の、気負いや、思い込みや、うそのない生き方に影響されるひとは少なくなかった。


これまで水津さんについて書いた記事はむかし「旅の仙人、水津英夫、おおいに語る」というサイトを作って、このブログの横にリンクを張ってある。とくにインタビューはとにかく面白いので、まだ知らない方は読んでくださるとうれしいです。また、水木しげるさんの「幸福の7カ条」というのが話題になっているが、水津さんはあれをすべてみごとに体現していた方だったのだと思う。その水津さんの幸福の秘訣のようなものをまとめた「旅の幸福術」という文もリンク先にあります。あと、水津さんについて書いた文章のうち旅行人誌2007年冬号に載せた追悼文だけは、ネットにあげてなかったので、9年目だからというわけでもないが、pdfにして読めるようにしました。これもよかったらどうぞ。

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「雑記」カテゴリの記事

コメント

水津さんねえ。。。あんまりいい思い出ないですね。おんぶにだっこ型の旅行者で、飯行くにも何するにもくっついてくる感じで、ナイロビの日本大使館(漫画が置いてある)で見かけた時は、やべえ、またあのジジイがいるよ。まとわりつかれる前に逃げよう!って皆で言ってましたからね。
爽やかな思い出を汚すようで悪いですが、みんなが水津さんにいい思い出をもらっているわけではないですからね。

そうですね。いい出会いをした人もいれば、そうでない出会いをした人もいるということでしょうね。私はたまたま、いい出会いをしたのだと思います。

なつかしい写真と記事ありがとうございました。
歳をとるごとに、「あー、ここに水津さんがいたらなあ…」と思うことが多くなってきました。

>森恵美子さま

ご無沙汰しております。入院中の水津さんをいっしょに訪ねて歓談したときはとても楽しかったです。あらためて、ありがとうございました。

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