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2017年5月

キュウさんのこと

坐禅会で知りあったキュウさんは上海生まれ北京育ちの中国人女性。日本の大学を出て、いまは東京のシンクタンクに勤めている。上海へ行ってきますといったら、あらー大都会ですよーといわれた。


穏やかでほんわかとした雰囲気のある彼女に、どうして坐禅をしようと思ったんですかと以前訊いたら、「がまんを学ぶためです」という答えがかえってきた。


「考えてみたら、私はこれまでの人生でがまんしたことがないんですよ。それってあまりいいことじゃないのかなと思って・・」


「それで生きてこられたんならば、いいじゃないですか。がまんなんて、しないにこしたことないですよ」


どちらかというと、坐禅しようなんて人は、ふだんの生活でがまんしつづけている人のほうが多いのではないか。がまんしつづけているうちに自分を見失って坐禅にたどりつくとか。そして、たいてい、がまんしつづけている人ほど、頑固でわがままだったりするのだ。


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キュウさんの日本での暮らしはもう20年以上になる。すっかり日本の感覚がしみついてしまって、ときどき帰国すると、お姉さんに、あんた給料あがったの? もっとガンガンいかなきゃだめよ、とハッパをかけられるという。


「中国人は現状維持が嫌いなんです」とキュウさんはいう。「なんでも他人と比較して、それを超えたがる。〈比較〉こそがエネルギー源。ちょっとでもチャンスがあれば、リスクがあっても、どんどん前に出てチャンスをものにする。それが当たり前の考え方」


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日本人は現状維持したがり、リスクをとることを極端に怖れる。中国人にとってエネルギー源である〈比較〉は、日本人にとってはプレッシャでしかない。チャンスをものにしようという意欲もなく、最初から諦めてしまう。リスクばかり見て可能性のほうを見ようとしない。 失敗した時の社会的な制裁や、自己責任恐怖がひじょうに強い。


規制についての考え方もそう。日本人は規制がないと動けない。個人の責任を問われることを嫌うので、規制をきちんとしてくれることを望む。新しいことをするにしても、規制がしっかりできて個人にふりかかるリスクがないと確認できるまで動こうしない。そうやってチャンスを逃してしまう。でも、チャンスを生かすよりも、責任逃れの方が重要。中国人にはそういう考え方が想像できない。規制は嫌い。グレーの方がチャンスが生まれて大胆になれるから。


「でも中国にも情報統制や報道規制をはじめ規制がいろいあるようにみえますけど?」と訊くと、日本から見ると規制が国を覆っているように見えるかもしれないけれど、実際は広い国土の中でそれは点のようなもの。実際は穴だらけ。国の規制や管理なんて、人びとはたいしたものだとは思っていないとキュウさん。

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「日本人にとって黄金時代は高度成長期だったんでしょうね。コストをかけて良いものを作ることが日本の発展を支えてきた。でも、その考え方に縛られていて、新しい世界の状況に対応できずにいるように見えます。日本人はいろんな点で恵まれているのに、実際は生活に喜びを感じておらず、先のことをいつも心配していて、不幸になっている・・


「私は東日本大震災の後の被災地の復興がいまだに進んでいないことが信じられない。完璧なものを作りたいいう要求が高すぎる。中国は四川大地震の後、1年で全てが再建された。復興ではなく再建。それは共産党主導だからできたことです。党がやるといったらできてしまう。人口が多いから一つ一つ意見を聞いていたら何事も前には進めないんですけどね・・・」


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