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浅川芳裕さんの新刊『カイロ大学』発売!

ついに発売! 農業ジャーナリストにとどまらない活躍をされているカイロ時代からの古い友人で、カイロ大学中退の浅川芳裕さんの新刊『カイロ大学』(KKベストセラーズ)。これは本当におもしろいです。


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一般には小池百合子都知事が出たというくらいでしか知られていないカイロ大学ですが、この大学自体が相当にユニークです。その建学からエジプト革命後の今日にいたる歴史をわかりやすく解説した、というだけではありません。


いや、そこも、もちろんすごく面白い。なにしろカイロ大卒業生には、あのサダム・フセインや、アルカイダ指導者のアイマン・ザワヒリといった物騒な人たちから、ノーベル平和賞をとったPLOのアラファト議長、ノーベル文学賞のナギーブ・マフフーズ、それに日本人で初めて博士号とったハサン中田考さんなど、テロリストから政治家、文化人、知識人まで多種多様な卒業生がいて、しかも、なんと学生数20数万(!!!)という超マンモス大で、寮生だけで1万人くらいいて、そのなかにイスラム武闘派などのさまざまなセクトから秘密警察の詰め所まであって、学生運動で当局に殺された学生が数百人という日本の大学の常識では計り知れない熾烈と混沌の世界なのである。


中東の近現代史をカイロ大を軸として見るという視点も興味深い。オスマン帝国が滅んで、カリフ制が廃されたあと、西洋近代化の波にさらされ、アイデンティティの危機に直面したアラブの大国エジプト。そうした時代背景の下で創設されたカイロ大学の学生・教師らから起こった闘争や活動がその後、どのように中東の多くの地域に波及して、9.11やアラブの春、そして今日の停滞と混乱へとつながっていくことになるのか、その流れがよくわかる。


だが、それにもまして、19歳でエジプトにわたった若き浅川青年の学生生活について書かれた第7章が面白すぎる。前にぼくのブログでも紹介したことがあるが、高校時代に湾岸戦争に衝撃を受けて、高校卒業後すぐバグダッドへ行こうとして、それがエジプトに変更となり、モスクで礼拝中のエジプトの文部大臣にカイロ大の入学許可をくださいと直談判したり、入学後はヘブライ語を専攻して秘密警察に追われてなんども拘束され、よりによってイスラエルに逃げたり、帰りにガザのハマスの口利きでアルバイトしたり、あげくのはてに秘密警察に捕まって拷問されたり等々。怖れも葛藤も迷いもない即断即決の無謀な青春記でもある。


カイロにいた当時、浅川さんは、たまにうちに遊びに来てごはんを食べたりした。当時の彼は短髪で、黒縁メガネをかけて、白シャツに黒いズボンという、端正で、まじめそうな若者だったのだが、ぽろりと出てくるのがこの本でも書かれているような耳を疑うような話ばかりで、こんなことしていたら、いつか死んじゃうんじゃないかと、こちらのほうがハラハラしたものだ。こうして生きていてくれて、なによりです。でも、よい子はけっして真似してはいけません。


1990年代前半のカイロには、浅川さんをはじめ、いまエジプト考古学者になっている河江肖剰さんや、この本にも出てくるいまイスラーム法学者になっているハサン中田さんも近所に住んでいて、みんな若かったし、おもしろかった。それぞれが見ているカイロはまるでちがっていた。ピラミッドなどの遺跡のある観光地としてのカイロも、カイロを構成する無数のレイヤーのひとつでしかないことを浅川さんはリアルに教えてくれた。彼がどのような世界に生きていたかは第1章の「カイロ流交渉術の極意」でもその一端が披露されている。よい子はけっして真似してはいけません、というか、たぶん真似できません。。。


本書は「世界最強の大学カイロ大学留学のすすめ」ということになっていて、日本からの留学の仕方なども冗談みたいに、ていねいに説明してある。ただ、これを読んでカイロ大学に本当に行きたいと思う人がいるかどうかはなんともいえない。だが、ハーバードやオックスフォードといったエリート大学からはけっして見えない、世界の身もふたもない風景が、ここからはきっと生々しく見えることはまちがいない。その混沌と闘争によって培われた知恵が、これからのカオティックな世界を生き抜くのに必要なのだといわれれば、なんとなく説得力もある。新書ではあるが、今年の現地取材も加えて構成した300頁をこえる混乱の力作がたったの920円とはお得すぎる。あひる商会CEOもお手伝いしました。(´Θ`)ノ


と書いていたら、最近カイロ大学が5人の教授をテロ活動に関与しているとして解雇したというニュースが。。



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